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安楽死を遂げるまで

2018.07.10 11:09|読書
18歳から欧米で暮らしてきたジャーナリストが、
世界の安楽死事情を取材したドキュメンタリー。


スイス、ベルギー、オランダ、アメリカ、スペインと、
安楽死と自殺ほう助の現場を巡る旅のなかで、
昨日インタビューし、カメラに収めた人が、
きょう目の前で自ら命を絶つ。
かの国では合法といえ、
ショッキングなリアルが文章に紡がれます。

安楽死尊厳死、自殺ほう助、延命中止、セデーション・・・
この違いを正しく認識している人は少ない。

日本では、
筋弛緩剤を点滴投与して死亡に至らせ、
殺人容疑で書類送検された山中祥弘院長や、
川崎協同病院の須田呼吸器内科部長など、
安楽死事件の当事者たる医師を取材ししています。

山中院長のいうところの「死は個人だけのものではない」という日本社会独特の考え方に、
私の日本人たる部分が共感を示した。(P309)


欧米では、死ぬ権利は個人の権利だという考え方が根本にある。
近代的個人主義のせい?
取材を重ねるうちに、著者は違和感を感じていく。

死は個人のものなのか、
それとも死は集団や社会のものなのか。
1人の人間の死には、家族、恋人、地域など様々な要素が結びついている。

個で生きる人生は、他人への迷惑をあまり気にせず、自由を享受し、開放感に浸ることができる。
けれど、年齢を重ねるに従い、「何か」が足りないことを、この数年、感じ続けてきた。
・・・
明日死のうとも自己責任である。自分の最期は自分で決める。周りもその生き方を尊重してくれるはず。
そう思ってきた。が、日本取材を経て、欧米で築き上げてきた人生観に今、揺らぎを覚えている。
集団に執着する日本には、日常の息苦しさはあるが、一方温もりがある。
生かされて、生きる。そう、私は一人ではなかった。周りの支えがあって、生かされている。だから生き抜きたいのだ。
この国で安楽死は必要ない。そう思わずにはいられなかった。
グローバル化によって今後日本特有の家族観や共同鯛意識は希薄になっていくだろう。家族意識の減退は、死へのハードルを低くするに違いない。周囲のサポートがあれば、つまり守ってくれる人がいれば、「耐え難い痛み」を軽減できることを取材では学んだ。個が死に方を主張するのではなく、周囲とどう生きるべきかを考える社会にするほうが顕在ではないだろうか。(あとがき)

死と正面から向き合わなければ、命の大切さを知ることはできません。
怖いものみたさからでもよいので、一読をお勧めします。

テーマ:読んだ本の紹介
ジャンル:本・雑誌

タグ:安楽死 尊厳死

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