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うしろめたさの人類学

2018.11.15 11:15|読書
著者はエチオピアの農村でフィールドワークを続け、
富の所有や分配、貧困や開発援助等を専門分野として研究している、
文化人類学者です。


北太平洋沿岸のアメリカインディアンの風習に、
返せないほどの贈り物をして相手の名誉を傷つけ、
従属させる「ポトラッチ」という儀礼があるといいます。



著者はマルセル・モース『贈与論』にふれ、
返礼の義務があるなかで、たとえ支配と従属であっても、
そこには人と人をつなぐ「関係」ができる。
これが贈与の力だ(はじめに)

自分が彼らよりも不当に豊かだという「うしろめたさ」。
「貧しい人を助けたい」という善意は相手を貶め、
自責からの贈与は相手を畏れる。
顔見知りになると、相手も「いつももらうのは申し訳ない」という気持ちになる。
贈与は人のあいだの共感を増幅し、交換はそれを抑圧する。

一緒に食べましょう、と声をかけるのは、
お互いが情に満ちた贈与/共感の関係にあることを、その都度確認する作業をしているのだ(P61)


要するに、誰かのためにしてあげるんだ、という施しはエゴで、
自分のほうが恵まれているという申し訳なさからの施しとは伝わるものが違うということ。

贈りものにすぐお返しをすることは、
「交換」というポジションに変換させることで、
愛情や共感が紡ぎだす関係性から逃げたい気持ちの表れなのかもしれません。




テーマ:
ジャンル:本・雑誌

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