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大学は私の人生を変えた

2021.03.19 20:55|読書
モルモン教原理主義者の父の方針でアイダホの山奥に家族と住み、
自分の誕生日も知らず、学校にも行かせてもらえなかったタラ。
狂信とDVが支配する家族から抜けだそうと、タラは独力で大学に行こうと決意した。



豊かにこなれた日本語訳で、途中で止められなくなり、500ページを一気読みしました。
ニューヨーク・タイムズのベストセラー第1位、
ビル・ゲイツとミシェル&バラク・オバマが絶賛したノンフィクションです。
自分の誕生日も知らず、
双極性障害の父とパーソナリティ障害の兄からは激しいDVを受け、
大ケガをしても病院に行かせてもらえず、
母の調合するフラワーレメディでやり過ごす日々。

まっさらな状態で入学した大学でスポンジのように教養を吸収し、
家族の機能不全に眼が開かれていく様子は感動的です。
けれども長いこと支配被支配の関係だった家族との決別は難しい。
タラが欲しかったのは無条件の愛なのに、親は教義の押しつけを愛だと信じていた。
自立してなお親からの愛を渇望するタラに胸が傷みます。

愛着障害からうまく人に頼ることができず、
教授や友人、恋人が差し伸べた手をはねのけてしまう。
両親との関係は学を得た後も、困難となってタラの前に立ち塞がります。

「教育」はタラにとって光をまとった一筋の蜘蛛の糸だったのでしょう。
その糸を勇気をもってたぐり寄せれば、新たな未来に自分を連れて行くことができる。
「ビリギャル」系の成功譚とは一線を画した物語がここにありました。

関連過去ログ

「無戸籍の日本人」2018.10.14

  

テーマ:考えさせられる本
ジャンル:本・雑誌

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